Firefox 48.0 で変更されたロケーションバーでのサジェスト表示を調整する

はじめに

ロケーションバー(アドレスバー/URL バー)に文字を直接入力した際、標準設定ではジェスト表示(候補一覧の表示)がおこなわれます。

この表示と動作が、Firefox 48.0 から変更されました。

Firefox 48.0 のリリースノートに、「URL バーで検索した場合、ブックマークされているページや、すでに開いているページはアイコン表示されるようになりました」と書かれているのがそれですが、検索目的ではない URL 入力でも通用する話ですし、アイコン表示だけが変わったのでもありません。

ロケーションバーへの入力に関しては、[オプション] -> [プライバシー] -> [ロケーションバー] に、[ロケーションバーには次の中から候補を表示する:] の項目があり、Firefox の初期状態では [履歴] 、[ブックマーク] 、[開いているタブ] の3つすべてにチェックが付いています(=有効)。


Firefox 47.0 以前のロケーションバーでのサジェスト表示

Firefox 47.0 までは、ロケーションバーの幅でサジェスト表示がドロップダウンされました。1つの候補につき [タイトル] と [URL] が2行で表示され、標準候補数は12個でした。
(画像は、Firefox 45.3.0 ESR での表示状態です。OS は Windows 7 SP1 で、以下同様です。)


Fx45のサジェスト表示

Firefox 48.0 での変更

Firefox 48.0 からは、ウィンドウの幅でドロップダウンがおこなわれます。

1つの候補につき [タイトル] - [URL] が1行で表示され、標準候補数は10個です。


Fx48のサジェスト表示(標準)

この変更で、見た目が大きく変わっているのは、ウィンドウ幅でサジェスト表示がドロップダウンされることです。Firefox のウィンドウサイズによっては、コンテンツエリアの大半を覆ってしまうことがあります。


ロケーションバーのサジェスト表示を従来形式に戻せるか

Firefox 48.0 からのサジェスト表示を、Firefox 47.0 以前の形式に戻す設定項目はありません。

方法としては、アドオンを使ったカスタマイズが考えられます。

昔から存在するロケーションバーのカスタマイズをおこなうアドオンを使って対処するか、Firefox 48.0 のこの表示を直にターゲットにしたアドオンを探す(登場を待つ?)かでしょう。

もうひとつ、静的(Static)な対応しかできませんが、ユーザースタイルを使って現状を緩和する方法があります。


ユーザースタイルを使って、Firefox 48.0 のサジェスト表示を調整してみる

ユーザースタイル(userChrome.css)を使ってドロップダウンの横幅をコントロールした例です。


Fx48のサジェスト用ドロップダウンボックスの横幅を調整
/* ドロップダウンボックスの調整 */
#PopupAutoCompleteRichResult {
margin-left: auto !important; /* ドロップダウンの左マージン */
max-width: 920px !important; /* ドロップダウンの最大幅 */
}

(指定する数値はユーザーの環境条件や好みに合わせて工夫してください。)


表示する候補数は従来通り about:config から

ところで、表示する候補数は、従来バージョンと同じように about:config から変更できます。


候補数の変更は従来どおり about:config から

[設定名] browser.urlbar.maxRichResults の値(整数値)を、無理のない範囲で調整してください。
ドロップダウンの高さが固定されているので、値を大きくするとドロップダウンボックスにスクロールバーが発生します。
値を小さくした場合、候補数に応じてドロップダウンボックスの高さが自動調整されますが、後述する候補の間隔(行間)指定との兼ね合いによっては、下方に空白ができます。
ユーザースタイルでドロップダウンボックスの高さを調整できる余地はあろうかと思いますので、ユーザーの好みに合わせてトライしてみてください。


候補数を増やすとスクロールバーが出る

browser.urlbar.maxRichResults の値を16にした結果、右端に縦スクロールバーが表示された例です。


候補数を増やして右端に縦スクロールバーが表示された例

各候補の間隔(行間)が広いと感じるなら、ある程度の範囲で調整することはできます。

間隔(行間)を狭くし、一覧できる候補の数を増やした例です。


各候補の間隔(行間)を調整して一度に見える候補を増やした例
/* ドロップダウンの各候補の間隔(行間) */
.autocomplete-richlistitem {
margin-top: -4px !important;
margin-bottom: -4px !important;
}

表示フォントの調整もある程度はできる

候補のテキストを調整することもある程度は可能です。

[タイトル] 部のフォントの種類は明朝体(serif)にし、サイズを少し小さくし、[URL] 部のサイズはそのままでフォントの種類を等幅(monospace)にした例です。(画像ではわかりにくいですが...。)


表示フォントの調整もある程度可能

この例では、実際に使用されるフォントの種類(font-family)は、Firefox の [オプション] -> [コンテンツ] -> [フォントと配色] の [詳細設定] で指定されている内容が使われます。

/* ドロップダウンのテキスト - 候補のタイトル */
.ac-title-text {
font-family: serif !important; /* 表示フォントの種類 */
font-size: small !important; /* フォントサイズ */
}
/* ドロップダウンのテキスト - 候補の URL */
.ac-url-text {
font-family: monospace !important; /* 表示フォントの種類 */
}

区別のため分けて書いてありますが、[タイトル] 部と [URL] 部を同じ内容で指定したいのなら、まとめることもできます。


■ ユーザースタイルではできないこと (というか、ぼくの力量ではできないこと)

  • 各候補の2行表示 ―― [タイトル] - [URL] を従来型のように2行で表示することはできません。
  • ロケーションバーの幅に自動的に追従すること ―― ウィンドウのサイズ、ナビゲーションツールバーに配置されているアイテムの数などによって、ロケーションバーの幅(長さ)が変化しますが、ドロップダウンボックスの横幅をロケーションバーの幅に合わせて動的(Dynamic)に追従させることはできません。

【注意点】

このロケーションバーへの入力に対するサジェスト機能の設定が、オプション設定の [プライバシー] 項目にあることに留意してください。
便利さは否定しませんが、自分以外の人が使える状態にある Firefox では、他者によって簡単に行動追跡されてしまう可能性が高くなります。